鉄道事業
ユーザ企業:東武鉄道株式会社
ファイル仮想化導入による管理しやすいファイルストレージ環境の構築
保存されるファイル容量の増加を追いかけ、毎年のようにファイルサーバの増設を繰り返してきた東武鉄道。本社移転をきっかけにARXによるファイル仮想化を導入し、柔軟性と効率性を持つストレージ環境を構築した。


社屋移転をきっかけにファイルサーバを刷新・統合
ファイルストレージの仮想化で、安全で効率的なデータ移行を実現
東武鉄道の社内にいくつも存在していたファイルサーバが、セキュリティや管理上の要件により統合されたのは、2003年のことだ。当時は取り扱いデータ量も少なかったため、約200GBの容量を持つサーバを設置しただけで十分だったが、統合したファイルサーバの容量がひっぱくするまでに大した時間はかからなかった。
「データ量は増加の一途をたどっており、ほぼ1年に1回のペースでファイルサーバの増設を続けてきました。まさに、いたちごっこでした」
そう当時の様子を語ってくれるのは、システム開発部の中田浩史氏だ。ファイルストレージ増設のために毎年繰り返される作業は、決して簡単な作業ではない。事前にファイルサーバ停止の通知を行ない、ファイルサーバを停止してからサーバ、ストレージなどの増設を行なう。業務への影響を考慮し、作業は夜間を中心に行われてきた。
また、6台設置されているファイルサーバのデータバックアップにはそれぞれ約10 時間かかる。毎日1台ずつバックアップ作業を行なって対応してきたが、万が一の障害や災害時には6日前のデータまでしか復元できないことも、大きな課題だった。
こうした課題を抱えたまま運営されていたファイルサーバだが、2008年に大きな変革を迎えることになった。2009年秋に竣工する新社屋への本社移転時にサーバルームも同ビルに移ることになり、それを契機にファイルストレージ環境を一新するプロジェクトが立ち上がったのだ。
「ファイルサーバとその中のデータを安全に運ぶための仕組みを考え始めたのがきっかけとなり、6台のファイルサーバを統合した新しいストレージ環境を構築することになりました」
システム開発部の課長、後藤俊行氏はファイルサーバ統合へと進んだプロジェクトの経緯をそう説明してくれた。ちょうど同じ頃、情報収集のために参加したセミナーがきっかけでF5ネットワークスからソリューションの紹介を受けた。そのひとつが、ARX だった。中田氏はこのとき初めてファイルストレージ仮想化という概念を知ったという。
「紹介された瞬間、これだ!と思いました。ファイルサーバ運用の負担を軽減したいというこれまでの課題解決にも、安全、確実に新社屋へデータを運びたいという希望にも、ぴったりでした」
ファイルストレージを仮想化すれば、それぞれのファイルが実際にどのストレージに保存されているかを考える必要はなくなり、ファイルサーバの管理はこれまでになく効率的になる。また、ファイルが実質的に保存されている場所に関わらず単一の論理的アクセスを提供するグローバル・ネームスペースの機能により、今回のデータ移行はもちろん、今後のファイルサーバ増設時にもユーザ側に設定変更は生じない。ユーザが直接アクセスするのはARX だけになり、バックエンドのファイルサーバの交換や増設時にサービスを停止する必要もない。すべてのファイルサーバを統合して効率よく利用できるようになる上、ストレージ使用量を全体で把握できるので、増設計画も立案しやすくなる。
現社屋と新社屋に設置したファイルサーバを仮想化することで、通常業務にストレージを提供しつつ、バックエンドでファイルを新社屋に移す計画も進行中である。既存のファイルサーバはWindows Server、新しいファイルサーバはNetApp FAS2050と異なる製品が混在する環境だが、ARXの配下ではベンダーの違いを意識することも特別な作業も必要ない。
新社屋へのファイルサーバ移転をきっかけにファイルストレージ仮想化を取り入れ、柔軟なインフラ基盤を手に入れた東武鉄道。今後はより高度なファイルサーバ管理を進めていきたいと、中田氏はその展望を語ってくれた。
「ファイルストレージ仮想化の導入で、容量拡大にもスピーディに対応できるようになりました。今後はより高度な管理にも力を入れていきたいと思っています」
ファイルストレージ仮想化を取り入れる際、Data Managerを使ってファイルサーバのアセスメントを行なったところ、1年以上前に作られたファイルがかなりの数で存在することがわかった。こうした実態を踏まえ、古いファイルにはより安価なストレージを充てるなど、これまでの環境では実行できなかったアプローチによるコスト削減にも着手したいと中田氏は言う。ファイルの作成、利用実態を正確に把握できるので、差分のみを抽出することによるバックアップ作業の軽減なども視野にあるという。ファイルストレージ仮想化という新しい技術を手にしたことで、東武鉄道のストレージ環境はユーザ、管理者ともに使いやすいものへと進化を続けていきそうだ。
