製造業
ユーザ企業:株式会社ルネサス テクノロジ
半導体ビジネスを勝ち抜くための大合併と「システム統合」27,000ユーザが活用するITインフラの安定稼働を支えるBIG-IP




日立製作所と三菱電機の両半導体部門が合併して誕生したルネサス テクノロジ。合併に伴うシステム統合 -- 27,000ユーザが活用するビジネスクリティカルなインターネット・システムの再構築に際して、計10台ものBIG-IPが採用された。BIG-IP は、サービスの信頼性とパフォーマンス向上に大きく貢献している。
大競争を勝ち抜くための合併、ITインフラの大統合
BIG-IPによる高信頼システムを実現した日立情報システムズ
情報・サービス端末として急速に進化する携帯電話、インテリジェント化が進むクルマ、デジタル家電やネットワークまで--ユビキタス環境を実現する様々な機器には、高度な半導体技術が不可欠だ。半導体、中でもマイクロ・コンピュータにおける世界No.1シェアを誇るルネサステクノロジは、2003年4月1 日、日立製作所と三菱電機の両半導体部門の大合併により誕生した。
「熾烈を極める世界規模での大競争を勝ち抜くための、文字通り戦略的な合併です。半導体事業の基盤となる応用技術、設計技術、生産技術を極め、設計・開発のスピードを上げていくためには、全社の情報システム、中でもインターネット・システムの大統合は不可欠でした」(青木部長)
イントラネット、企業間取引、公開サイト--27,000を数えるルネサステクノロジ全社員をはじめ、グループ会社、取引先までもが活用するシステムは、まさにビジネスの基盤。4月1日の新会社発足とともに全社一斉稼働させること、さらにサービスの信頼性、システムの可用性を確保することは至上命題だった。
「いかなることがあってもサービスを停止させないことが基本。半導体ビジネスでは、システム停止がビジネスに与える損失が桁違いに大きいのです。そこでIT戦略統括部としては、半導体ビジネスに特化したITサービスの提供に注力し、システム・インフラは日立情報システムズさんへのアウトソーシングを決めました」(西澤主任技師)
日立情報システムズのIDCに構築された大規模なシステム・インフラには、10台に及ぶF5ネットワークスのBIG-IPが採用された。
「新システムの基本方針は、サーバ/ネットワークを二重化・冗長化し、負荷分散装置を導入して信頼性の向上とスループットの向上を実現することでした」(西澤主任技師)
本システムでやり取りされるトラフィック量は膨大だ。たとえば、メール・システムへの処理性能の要求は、1秒間に25件、1メールあたりの容量は平均8MBにも及ぶ。
「システム統合によって、どの程度のトラフィック、トランザクションが発生するのか、理論値での予測は可能ですが、実際のところは動き出してみるまでわかりませんでした。そこでピーク時を見越したキャパシティ設計とともに、障害の原因やボトルネックになる可能性のある箇所はどこか、日立情報さんとともに徹底的に検証しました」(江口グループマネージャ)
まずはサーバ・システム。社内向け、社外向け計35台に及ぶサーバ群それぞれに、F5ネットワークスのロードバランサBIG-IP 2000を冗長構成にて配置。サーバへの処理要求を効果的に分散し、システムの可用性とスループットを確保している。
次にファイアウォール。高度なフィルタリングを実行するファイアウォールはボトルネックになりやすい。そこで本システムでは、BIG-IP FireGuardの高機能を活用してファイアウォールの負荷分散とセキュリティ確保をめざした。BIG-IP FireGuardをファイアウォールの前後に配置するいわゆる「サンドイッチ」の構成をとることで、上り・下り双方のトラフィックに対してセッションを保持しつつ最適なファイアウォールの負荷分散を実現している。
「一般的に、社外への公開サーバは、セキュリティ面を考慮してファイアウォールから分岐させたDMZに接続します。今回のシステムでは、公開サーバをサービス種類ごと5系統に区分し、個別のDMZを設ける構成としています。これによりサーバ間の不正アクセスを回避し、セキュリティレベルを高めているわけです。このような構成で各サーバの負荷分散を行う場合、他社の負荷分散装置では、DMZのネットワークセグメントごとに装置を設置するため、全部で5セット(計10台)必要になります。しかし、BIG-IPではVLAN技術を用いることにより1セット(計2台)で実現できました。台数を減らすことで、運用管理にかかる負荷軽減をも実現したところがポイントです」(日立情報システムズ 長谷川裕二氏)
BIG-IPは、HTTPリクエストだけでなくFTP、SMTP、POP3などのプロトコルに対応したアプリケーションレベルである「レイヤ7のトラフィック監視」を行うことができる。これにより、Webサーバだけでなく多様なサーバ・システムの可用性を高めスループットを向上させるわけだ。
「4月1日に全社一斉稼働させるという大命題もクリアし、現状は非常に安定した稼働をしています。BIG-IPを採用した理由には、デファクトスタンダード製品ということもありましたが、優れたインテグレーション能力を持ったITパートナーの存在も不可欠でした」(益田担当部長)
「データセンターの海外展開も検討中です。今後は、ディザスタ・リカバリも視野に入れて、F5社の3-DNSを使った広域負荷分散やLink Controllerによるマルチホーミングも考えていきたいと思っています」(江口グループマネージャ)
ルネサステクノロジのビジネスを支えるインフラを担うBIG-IP。そして、ITパートナーとしての日立情報システムズへの期待は大きい。
